こんにちは。
武蔵浦和の歯科医院スカイ&ガーデンデンタルオフィス院長の永田です。
前回は手術で埋入したインプラント体の型採りについて歯科衛生士堀内が書いてくれました。
最新の光学式スキャナーでの型採りが患者様にとっても、医療従事者にとっても多くの利点があることがお分かりいただけたと思います。
型採り後、どのようにして歯が入るのかをご説明するために、ここで今一度インプラントの構造について確認しましょう。
インプラントの構造について復習
インプラントは
インプラント体(フィクスチャー)+土台(アバットメント)+人工歯(上部構造)
の3つで構成されています。
型採りをしたのは顎の骨に埋入されたインプラント体の部分。
3Dデータを基に、ここにとりつける人工歯の部分を専門の歯科技工士が製作します。
人工歯部は失った歯と同様またはそれ以上によく噛めて、お手入れがしやすく、周囲組織と調和の取れたものでなくてはなりません。
従来は粘土のような材料で歯型を採り、石膏を流し、再現された歯型模型上で上部構造を作っていましたが、作業工程が多く時間がかかりました。
それが近年の技術進歩で、いち早くより正確にコンピューター上で作れるようになったのです。
このようにして完成した上部構造をインプラント体に固定していきますが、その方式は2通りあります。
①セメント固定(セメントリテイン)
アバットメントに上部構造を歯科用のセメントで固定する方式です。
☆セメント固定のメリット☆
人工歯の形態をより理想的に作ることができるため、前歯など審美性がより求められる部位に適しています。
インプラントを壊してしまうような過剰な力が加わった際に、人工歯が外れインプラント本体への影響を最小限にできる事もメリットの一つと言えるでしょう。
★セメント固定のデメリット★
何か不具合があって上部構造を外したい時、本付けしてあるとセラミックの人工歯を壊して外さなければなりません。
多くの場合は仮付けのセメントで付けてありますが、接着強さの特性上、外れてしまうことがあります。
また取り付けのセメントが残ってしまうと、将来的にインプラント周囲炎を引き起こすリスク因子となります。
②スクリュー固定(スクリューリテイン)
セメントを使わずにスクリューの嵌合力でインプラントと固定する方式です。
手順
①人工歯に開いた穴をアクセスホールといいます。ここにスクリューを入れて、専用ドライバーで締めていきます。
②仮付け、本付けの際にはスクリューを既定の強さまで専用のトルクレンチで締めます。人の力の2〜3倍の力で締めますので緩みません。
③アクセスホールを人工歯と同じ色のレジンで封鎖します。
④再度咬合調整、研磨をして仕上げます。
☆スクリュー固定のメリット☆
スクリュー固定が考案されたのは、セメント固定で使用するセメントの残りがインプラント周囲炎を引き起こす可能性があるためでした。
スクリュー固定であればセメントの残渣はあり得ず、リスクが軽減します。
そして何と言っても最大の利点は「外したい時、スクリューを回せば人工歯部が外せる」ことでしょう。
インプラント体周囲に炎症が起こらない様しっかり清掃したい時、トラブルで人工歯部を修理したい時、ためらいなく外し、また取り付けることができます。
インプラントが長持ちするために必要なメンテナンスがしやすいのです。
★スクリュー固定のデメリット★
製作の難易度が上がることと、(キレイに塞ぎますが)アクセスホールの穴が開いている事、力を緩圧する部位が無い事です。
インプラントは術者可撤式(じゅつしゃ、かてつしき)といって歯科医院で歯科医師が取り外す方式をとっており、患者様自身では取り外しができません。
「セメント固定とスクリュー固定、どちらが良いのか? 」
これには諸説あり、未だ統一された見解はありません。
当医院では上記の特性を踏まえ、それぞれのケースに最適な方式を選択しております。
次回は歯科衛生士堀内のインプラント体に上部構造をセットします。
インプラントについて興味のある方は武蔵浦和の歯科医院スカイ&ガーデンデンタルオフィスまでお気軽にお問い合わせください。