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歯周病治療を途中でやめるとどうなる? Blog

歯科医 永田 さやか (ながた さやか)
スカイ&ガーデン デンタルオフィス 院長

歯周病の治療を受けている方の中には「最近、歯ぐきの腫れも引いたし、血も出なくなったからもう大丈夫だろう」「忙しくて通院できないし、痛みもないから少し間を空けよう」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自覚症状と病状が一致しにくい病気のため、歯周病治療は一定期間をかけて段階的に進めていく必要があります。しかし実際には、治療の途中で通院をやめてしまう方が少なくありません。治療を中断すると、表面上は落ち着いて見えても、実は水面下で病気が進行していることが多くあります。今回は、歯周病治療を中断した場合に口腔内で起こりうる変化についてお伝えします。

初期治療で症状が落ち着く理由

歯周病治療の初期段階では、まず歯の表面や歯ぐきの上に付着した歯石(縁上歯石)やプラークを除去し、炎症を抑える処置を行います。この治療によって歯ぐきの腫れや赤みが改善し、出血や不快感が軽減されるため、多くの方が治ったような感覚を覚えます。
しかし、この段階で改善しているのはあくまで歯ぐきの表面の炎症です。歯周病の本当の原因は、歯周ポケットの奥深くに存在する歯周病菌や縁下歯石、そしてそれらが作り出すバイオフィルムです。これらは肉眼では見えず、セルフケアでも取り除くことができません。つまり、症状が軽くなったと感じる時期は、治癒ではなく一時的に炎症が落ち着いている状態にすぎないのです。

治療を中断すると、急に進行する歯周病

途中で治療をやめてしまうと、歯周ポケットの内部では自覚のないまま、病態が静かに変化していきます。初期治療やクリーニングによって歯肉の炎症が一時的に軽減すると、歯ぐきは引き締まり、歯周ポケットの入口は狭くなります。一見すると治った、もしくは良くなったように見えますが、実際には歯周ポケットの深部に歯石や歯周病原性細菌が残存しているケースが少なくありません。
ポケットの開口部が狭くなることで、内部に残った歯石や細菌は外からのケアや免疫反応が届きにくい環境に閉じ込められます。歯周病の原因となる細菌の多くは、嫌気性菌と呼ばれる酸素を嫌う性質を持っており、酸素濃度の低い歯周ポケット深部は、まさに増殖しやすい環境となります。こうした細菌は毒素や炎症性物質を産生し、歯肉だけでなく歯を支える歯槽骨にまで影響を及ぼします。

特に注意が必要なのは、喫煙習慣のある方や、糖尿病をはじめとする全身疾患をお持ちの方です。喫煙は歯肉の血流を低下させ、免疫反応を抑制するため、炎症の赤みや腫れといったサインが現れにくくなります。また、糖尿病は感染に対する抵抗力を弱め、歯周組織の破壊を加速させることが知られています。これらの要因が重なると、見た目には症状が軽く見えても、内部では急速に病状が進行していることがあります。「今は落ち着いているし、忙しいから少し様子を見よう」と治療を中断した結果、次に症状が現れたときには、歯の動揺や咬合時の違和感、さらには抜歯を検討せざるを得ないほど進行しているケースも見られることもあります。歯周病治療は、症状が落ち着いた後こそが重要であり、継続的な管理と定期的なメインテナンスが、歯を長く守るための鍵となります。

再度開始しても、治療期間が延びてしまう?

治療を一度中断した後、再び治療を始める時はまず現在の状況を把握するための検査が必要となります。歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯の動揺、レントゲン画像を用いて歯槽骨の状態などを総合的に評価し、治療計画を立て直します。
中断期間中に歯周病が進行していると、初期治療だけでは十分な改善が得られず、処置回数が増えることがあります。また、歯周ポケットが深くなっている場合には、より精密な縁下歯石除去や外科的処置が検討されることもあります。このように、治療の中断は結果として治療期間の延長につながりやすく、回復までに時間を要する要因となります。つまり本来であれば、計画通りに治療を続けることで、より短期間で安定が期待できた状態も、治療を中断したことで回復までに時間を要してしまいます。そのため、治療期間だけでなく、身体的・時間的・経済的な負担も大きくなってしまうのです。

歯周病治療における継続の重要性

歯周病は慢性的に経過する疾患であり、短期間で完結する病気ではありません。治療の目的は症状を一時的に軽減させることではなく、炎症をコントロールし、歯周組織の状態を安定させることにあります。そのため、計画的な治療と経過観察、さらに治療後のメンテナンスが欠かせません。途中で治療を中断すると、安定した状態に到達する前に病態が再び悪化する可能性が高まります。歯周病治療は、継続して取り組むことで初めて効果が維持される治療であることを理解しておきましょう。

まとめ

歯周病治療の初期段階で症状が軽減することは珍しくありませんが、それは治療の通過点に過ぎません。今は痛みを感じないから治療に行かなくても大丈夫だろう、といったその安易な判断が、数年後に後悔につながることがあります。歯周病は、正しい知識と継続的な治療によってコントロールできる病気です。私たちは、患者様一人ひとりのお口の健康を長く守るために、最後まで伴走したいと考えています。不安や疑問があれば、武蔵浦和のスカイ&ガーデンデンタルオフィスにいつでもご相談ください。

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