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マウスピース矯正を早く、痛みなく!光加速矯正装置(オルソパルス®・PBMヒーリングオルソ®)のススメ。 Blog

歯科医 永田 さやか (ながた さやか)
スカイ&ガーデン デンタルオフィス 院長

オルソパルス®はカナダのバイオラックスリサーチ社が開発し、2015年にFDAで認可を受けた光による加速矯正装置です。1日10分間、ご自宅で口の中に装置を入れ光を当てるだけで、インビザラインなどのマウスピース矯正で治療期間が大幅に短縮されます。

光加速矯正装置とは

光加速矯正装置は近赤外線である850㎚の波長の光を歯の周辺組織に照射し、矯正治療の効果を促進することができる装置です。使い方は簡単で、治療期間を大幅に短縮できかつ治療期間中を快適に過ごすことが可能となるため、相性の良いマウスピース矯正で併用される方が増えています。そんな光加速矯正装置には、次のようなメリットがあります。

メリット①・治療期間の短縮

通常7日~10日間の交換サイクルを最短4日にできる為、治療期間を2分の1程度にまで短縮できる計算になります。矯正治療で2年から3年程度の期間を要する症例ではとくに大幅な短縮が可能です。

メリット②・矯正治療に伴う痛みや不快感の緩和

もともと痛みをほとんど感じないマウスピース矯正ですが、光加速矯正装置の使用により交換初日の締め付け感、窮屈感がぐっと軽減されます。

メリット③・清潔で新しいマウスピースが使用できる

①の結果ともいえますが、マウスピースの交換サイクルが短い為、いつでも新しく透明なマウスピースを入れていられます。歯の白さを保っていられることは重要なポイントです。

近赤外線で矯正期間が短縮できるメカニズムとは?

「赤外線をあてるとどうして歯が速く動くの?」と不思議に思われる方がいらっしゃるはずです。オルソパルスがどのように作用して治療期間が短縮できるのか?そのメカニズムについてご説明します。

 

歯列矯正では、歯を少しずつ動かしていきますが、健康な歯は歯槽骨にしっかり埋まっているので、押したり引いたりしただけでは動きません。矯正装置により適切な強さの力を持続的にかけることで歯は少しずつ移動していきます。

歯の移動方向の骨には破骨細胞が出来て骨が吸収され、動いた側の骨には骨芽細胞が生じて新たに骨が新生されます。このような骨の再構築を「骨のリモデリング」といい、リモデリングが繰り返されて歯は動くのです。

光加速矯正装置は近赤外線のエネルギーを利用して、細胞を刺激し、歯周組織の活性化を促進します。リモデリングのサイクルを早めることで治療期間が短縮され、治療をスムーズに進めることが可能になります。

 

光をあてることで細胞中のミトコンドリアを反応させ、細胞のエネルギーを活性化させる治療をフォトバイオモジュレーション(PBM)といいます。PBMは疼痛治療などの医療分野のみならず、コラーゲン生成効果を利用したシワ取りやリフトアップなどの美容医療、増毛などのアンチエイジング治療などあらゆる分野で活用されています。

 

オルソパルス®について

「オルソパルス®」はとてもシンプルにデザインされており、使い方はとても簡単です。

ケースが充電器になっており、USBポートで6時間の充電を終えたら準備完了。1日1回、上顎と下顎にそれぞれ5分の合計10分間、装置のマウスピース部をくわえるだけです。本を読みながら、TVやスマホを見ながらの10分間はあっという間。使用中はじんわりと温かく感じます。本体にスイッチはなく、シリコン部分を口にくわえるだけでピピっという音とともに照射が始まります。コードもなく軽いのでお口も疲れません。

またオルソパルスは充電器であるケースに本体を戻すと自動で同期する、専用の連携アプリがあります。使用状況やマウスピースの交換時期を一括管理することも可能です。

PBMヒーリングオルソ®について

「PBMヒーリングオルソ®」(以下PBM)も光加速矯正装置で、フォトバイオモジュレーションによる作用機序はオルソパルスと同じです。

使い方は1日1回、上顎と下顎4分ずつ、合計8分光を当てます。

オルソパルスと異なる点は主に下の3つになります。

  1. マウスピースはバッテリーパックとコードでつながり、コードのスイッチでオンオフする。有線なので壊れにくい。
  2. 奥歯までマウスピースが覆うため、全部の歯牙にむらなく赤外線が届く。
  3. 何といっても安価‼オーソパルスのおおよそ半額、当院では9万円(税抜き)で取り扱っております。

オルソパルスもPBMも、痛みなく簡単に矯正治療期間を短縮でき、いいことづくめの装置ではありますが、保険が適用されない矯正治療費とは別に追加で費用が掛かります。

またインビザラインの基本である、装着時間1日20時間以上、などの使用条件を装置の使用に関わらず順守していただく必要があります。

 

フォトバイオモジュレーションについては科学的根拠となる論文は多数出されていますが、誰にでも必ず効果が出ると言い切れるまでにはなっていません。もともと歯列矯正においては歯列の形態やマウスピースの使用状況、年齢、性別など歯の移動スピードに影響を与える因子は多数あります。個人差が大きいことをご理解いただいたうえで、より効率的に、快適に矯正治療を進めていただく際の一助になればと考えています。

*オルソパルスもPBMも日本ではまだ医薬品医療機器等法(薬機法)未認可となっております。ご理解のある方のみにご紹介しております。ご興味のある方は是非ご連絡下さいませ。

(関連記事:矯正歯科(マウスピース矯正・ワイヤー矯正)

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