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乳歯が抜けた!?親御さんに注意していただきたい症状 Blog

歯科医 永田 さやか (ながた さやか)
スカイ&ガーデン デンタルオフィス 院長

突然お子様の乳歯が抜けて驚いていませんか?
生え変わりの時期で、乳歯が以前から大きくグラついていたのであれば、いつ抜けてもおかしくはありません。しかし、痛みもなく根っこが残った状態で歯が抜けた場合は、大きな病気が隠れている可能性があります。
こちらのページでは、乳歯が抜けることが症状の一つである「低ホスファターゼ症」の特徴についてまとめました。お悩みの方はぜひご参考ください。

乳歯が抜けた原因は「低ホスファターゼ症」かもしれません

低ホスファターゼ症は、発症割合が10万人に1人の遺伝性の難病で、アルカリホスファターゼという酵素の異常により、骨の石灰化がうまくいかずに骨が弱くなる病気です。乳歯が早く抜けてしまう、けいれんをおこすなど、人によってみられる症状や程度、発症のタイミングが異なります。骨や歯を中心に様々な症状が現れるのが特徴的で、生後6か月までの新生児に多く見られます。

低ホスファターゼ症の主な症状

低ホスファターゼ症の主な症状は、以下のとおりです。

乳歯の早期脱落

1~4歳までによくみられる症状で、はじめに下の前歯が抜けて、次に上の前歯が抜けることが多い傾向にあります。抜けるときに痛みはなく、根っこの部分が残っているのが大きな特徴です。

骨格系障害

骨が脆く弱くなるため、骨折や骨の変形といったトラブルがおこりやすくなります。治りも悪いことから、日常生活に支障をきたすケースが少なくありません。

筋肉・関節症状

筋力が低下し、筋肉痛や関節痛、関節炎などを引きおこしやすくなります。歩くために松葉杖や歩行器、車いすなどの補助が必要になる方も多く、症状の度合いや年齢によっては周囲のサポートがないと日常生活を送れない方も見受けられます。

呼吸器・神経系障害

肺の機能が低下し、肺炎を患う可能性があります。症状が悪化すると人工呼吸器が必要になることもあります。
また、重症例ではビタミンB6の代謝異常による、けいれん発作がみられることがあります。

腎障害

骨の形成に必要なカルシウムが利用されなくなり、その結果血液中のカルシウム濃度が異常に上昇して、腎石灰化や高カルシウム血症、高カルシウム尿症のリスクが高まります。

低ホスファターゼ症の検査について

低ホスファターゼ症の疑いがある場合は、レントゲン血液尿遺伝子などの検査を行います。
乳歯が抜けたタイミングで歯科医院にご来院いただいた際は、状態をみてすべての検査が可能な病院をご紹介いたします。

低ホスファターゼ症以外で乳歯が抜ける原因は?

低ホスファターゼ症以外でも乳歯が早期脱落することはあります。以下2つの症状が、よくみられるケースです。

重度の虫歯

乳歯は歯質が柔らかく、永久歯よりも虫歯の進行が早い傾向にあります。虫歯が重症化すると、歯の神経を失う可能性があり、その結果ヒビや破折といったトラブルがおきて、抜歯せざるを得なくなる状況になることがあります。
低ホスファターゼ症との大きな違いは、重度の虫歯になっても自然に抜けることはほとんどないため、歯科医院で抜歯をする必要があるということです。

衝突や転倒などによる外傷

人や壁などにぶつかったり、転んだりして歯が抜けてしまう子は珍しくありません。歯の頭の部分が折れる、歯が脱臼するなど、人によって症状はさまざまです。根っこが残った状態で抜けるケースもゼロではありませんが、低ホスファターゼ症との大きなちがいとして「強い痛み」があります。

早い段階で乳歯が抜けてしまったらすぐに歯科医院へご相談を

乳歯の早期脱落は、一般的に重度の虫歯や衝突・転倒によるものがほとんどですが、なかには「低ホスファターゼ症」の症状として現れることもあります。歯が抜けた瞬間を見ていない場合は、痛みがあるかどうかを確認して「低ホスファターゼ症」の疑いがあれば、できるだけ早めに歯科または小児科、内科へ相談しましょう。

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