お口の中は目に見えにくいため、どのような治療をされているのか、不安に思う方もいらっしゃると思います。
特に痛みがある時は、精神的にもダメージが大きく、疑心暗鬼になってしまうこともあるでしょう。
今回は、歯周病による痛みがある時に行う応急処置について解説していきます。
歯茎が腫れる歯周膿瘍
患者様が急患で受診される場合、多い症状の1つが歯周膿瘍(ししゅうのうよう)です。
膿瘍は歯周病によって歯肉に膿の袋ができた状態で、多くの患者様が「歯肉がブヨブヨしている」「白いできものがある」などの理由で受診されます。
見た目の変化に驚いた方が慌てて受診されることがほとんどですが、激しい痛みを伴う場合もあり、注意しなければなりません。
歯周膿瘍は骨や歯周組織の破壊に伴ってできるので、早めの処置が必要です。
歯周膿瘍の原因は?
歯周膿瘍の原因は、細菌の増殖です。
歯周ポケットが放置されていたり、歯の根が折れていたり、根の病気が再発すると、細菌が増殖してしまいます。
それを排除するために免疫機構が働き、その結果として膿の袋ができてしまうのです。
歯周病が原因となる場合、深い歯周ポケットが形成されていたり、膿が歯周ポケットから排出されるのを邪魔するように歯石がついていることがあります。
歯周膿瘍に対する応急処置
歯周膿瘍の原因は細菌の増殖であるため、原因を取り除くためには歯石などの除去が必要となりますが、痛みがある場合や炎症が強い場合は、器具で触れることで余計に痛みが増強する場合があります。
そのため、歯周膿瘍が形成され、痛みを伴う場合、まずはペニシリン系やマクロライド系の抗生物質や、痛み止めなどで症状を抑える薬物治療が行われます。
お口の中で治療が行われないことに不安を抱かれたり、すぐに痛みを抑えることができず、薬が効くのを待つしかないことに不満をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、しっかりと順を追って治療しないと、余計に辛い思いをすることになりかねないのです。
外科処置で症状が軽減できる場合も
膿瘍が大きくなっている場合は、切開して膿を出した方が治りが早くなります。
膿瘍の一部分に切れ目を入れて、そこから溜まった膿を出し、状況によっては膿の出口である排膿路が塞がらないようにガーゼなどを詰めておくこともあります。
処置は局所麻酔をしてから行うのですが、膿の袋を圧迫して痛みが出たり、麻酔自体が効きにくいといった問題点があります。
歯を残すことでデメリットが生じる場合は抜歯も検討します
歯周膿瘍を生じる原因は歯の根が折れる歯根破折、歯を支える骨や周囲組織が破壊される重度歯周病などがありますが、これらの場合、歯を残すことで全身に悪影響を及ぼす可能性があります。
使えなくなってしまった歯は、虫歯菌や歯周病菌などの細菌の巣窟となってしまい、その細菌が血管内に入って全身に周ると、心筋梗塞や肺塞栓症、菌血症など最悪の場合死に至るような疾患の原因になってしまうことがあるのです。
そのような場合は抜歯を検討します。
スカイ&ガーデンデンタルオフィスには、抜歯などの外科手術を専門とする口腔外科医も在籍しています。
抜歯が必要となった場合も、安心してお任せください。
出血があるのはどのような時?
外科処置を行ったり、歯肉に炎症があると、歯肉から出血が見られることもあります。
出血の原因はいくつかあり、症状や状態によっては追加で処置が必要になることもあるので注意が必要です。
ここからは出血の原因とその対策について見ていきます。
■歯周病による出血
歯周病で歯肉に炎症が起きていると、歯磨きなどの軽微な刺激でも出血してしまうことがあります。
そのような場合は歯周病の治療が必要ですが、そこまで慌てる必要はありません。
歯科医院できちんと検査をして診断を受け、治療を続けながら適切なブラッシング(歯磨き)の方法を実践していけば、いずれ出血せずに歯磨きできるようになります。
■外科的な処置後の出血
抜歯や膿瘍の切開などの外科的な処置を受けると、しばらくの間出血が続くことがあります。
治療後は血液中の血小板の作用によって血餅、つまりかさぶたができて出血が治るのですが、お口の中は唾液が絶えず流れており、唾液に血液が溶け出して、皮膚などに比べて出血が止まりにくい傾向があるのです。
出血が止まらず大量に血が流れているような状況であれば、なんらかの止血処置が必要となりますが、唾液に混じるくらいであればしばらく様子を見ても問題ありません。
ただし、唾液に混じる血が気になるからといって何度もうがいをしたり、傷口を舌で触ったりするとせっかくできたかさぶたが取れてしまったり、治りが悪くなる原因になるので気をつけましょう。
■全身疾患による出血
急性白血病や血友病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、糖尿病などの疾患があると出血しやすくなります。
血友病は遺伝性の病気で、歯科医院に来院される時にはご自身でわかっておられるケースがほとんどですが、他の疾患は自覚症状がないため、自覚がない場合もあります。
いずれの疾患も歯科医院では治療ができないため、内科や大きな病院を受診していただき、ある程度検査の数値が安定してから治療を行うか、病院内にある病院歯科を受診していただく必要があるかもしれません。
虫歯から歯周病が発症するケース
歯周病が歯の根の先あたりまで進行してしまうと、歯の神経に感染して炎症を起こすことがあります。
上行性歯髄炎(じょうこうせいしずいえん)と呼ばれる状態です。
また、逆に重度虫歯から根の先に膿の袋ができ、それが歯周ポケットと繋がってしまうケースもあります。
いずれの場合も、歯周病治療と並行して、根の治療が必要です。
噛み合わせの不具合による痛み
歯周病によって歯を支える骨が減少すると、歯が動いてしまい、噛み合わせが変化することがあります。
噛み合わせが悪いことによって痛みが出る状態を「咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)」と言います。
そのような場合は、痛みが出ないように噛み合わせを整えることが必要です。
歯が動いて保存が難しい場合は抜歯も検討しますが、治療で残せる場合は隣り合う歯と連結するなどの処置によって安定させることもできます。
痛みの診断はスカイ&ガーデンデンタルオフィスへ
痛みなどの辛い症状があっても我慢してやり過ごそうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、正確な診断を受けなければ適切な医療を受けることができずに最悪の場合は歯を失ってしまったり、全身に悪影響が及ぶ可能性もあります。
患者様のお気持ちや恐怖心をきちんと受け止めながら、しっかりと治療させていただきますので、ぜひスカイ&ガーデンデンタルオフィスへご相談ください。
また、なるべく痛みのない生活を送りたいという方には、定期検診がおすすめです。
定期検診で痛みが出そうな部分に関して常に対処していくことで、不快な思いをしなくてもよくなります。
定期検診で、快適な生活を送りましょう。
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