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歯の神経を取るとどうなるの? Blog

歯科医 永田 さやか (ながた さやか)
スカイ&ガーデン デンタルオフィス 院長

歯の中心部にある歯の神経を歯髄といいます。歯髄には神経と血管で歯を栄養し、細菌の侵入に抵抗する重要な役割があります。

むし歯が進行したり、知覚過敏で痛みを感じると、歯の神経を取ってしまったら楽になるのに、、、と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
歯髄が細菌感染したり炎症を起こして強い痛みが発生した場合は、やむを得ず神経を取ることがありますが、本来であれば歯髄は歯を長持ちさせるために残したい組織であり、安易に取っていいものではありません。

こちらのページでは、歯の神経を取った場合の注意点や、歯を長持ちさせるためのポイントを分かりやすくまとめました。神経を取った歯がある方はもちろん、この先取る予定がある方も参考にしていただければと思います。

 

歯の神経を取ったらどんなトラブルがおこる?

虫歯やケガなどで歯の神経が細菌感染したり、死んでしまったりすると、歯の神経を取り除く必要があります。歯の神経を取ることでどんなトラブルが引き起こされるのか、詳しくみていきましょう。

歯が脆くなりヒビや破折がおこりやすくなる

歯の耐久性が低くなることで、細かいヒビが入ったり、欠けたり、折れてしまったりといったトラブルがおこりやすくなります。歯は骨とは違い、破折面をくっつけて固定しておけば自然にくっつくなどということはありません。自然修復しない組織ですから歯の欠け方によっては抜歯が必要になる場合もあります。

黒っぽく変色する

神経を失った歯は変色していきます。変色していく速度や色自体にも個人差がありますが、黄色くなったり、茶色っぽくなったり、灰色になったりして周囲と比較して目立つようになります。こういった「変色歯」は歯を白くするホワイトニングの効果を十分に得ることができません。明るさのトーンを調整することはできますが、見た目を周囲の歯と合わせるには、被せ物やラミネートベニアなど別の治療が必要です。

トラブルの発見が遅れ、むし歯が進行しやすくなる

菌に対する抵抗力が低下して、むし歯のリスクが上がります。進行も早くなります。

痛覚はトラブルを知らせる大切なサインであり、本来失くしていいことはありません。痛覚が失われるとむし歯がどんなに進行しても違和感程度で済んでしまうため、発見が遅れて抜歯をせざるを得ない状況になってしまう可能性があります。

歯根の先に膿がたまりやすくなる

歯の神経を取る治療(根管治療)を行ったあとに内部で再び感染がおこると、歯根の先に膿がたまることがあります。膿は歯の周りにある歯槽骨が溶かされてできるため、大きくなればなるほど骨を失い、その後の治療に支障をきたします。治すには再度根管治療が必要になることがあります。

神経を取った歯を長持ちさせるためのポイント

神経を取った歯はトラブルがおこりやすいため、以下のポイントをおさえて、丁寧な管理を心がけましょう。

定期検診を受ける

神経を取ると異変に気付きにくくなります。定期的に歯科医院でチェックすることで、トラブルの早期発見・早期治療が可能です。とくに歯の内部や歯根の先に問題がある場合はレントゲン検査でしか調べることができません。見た目の状態が良くても定期検診は忘れずに受けるようにしてください。

強い力がかからないように工夫をする

神経を取った歯で硬めのものを噛むと、ヒビが入ったり割れたりする可能性があります。土台を立て、かぶせ物をすることで補強する必要があります。また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合も、歯に強い力がかかるため注意が必要です。専用のマウスピースを使用することで歯が割れるリスクを抑えられます。心当たりのある方はぜひご検討ください。

異変を感じたらすぐに歯科医院に連絡する

痛みを感じることだけがトラブルのサインではありません。「浮いた感じがする」「ズーンと重い感じがする」「歯ぐきにニキビみたいなできものができている」といった症状は、神経を取った歯におこりやすく、歯根の先に膿が溜まっている可能性が高めです。それ以外の異変であっても気づいたら早めに歯科医院へご連絡ください。

歯の神経を取るリスクを把握して丁寧な管理を心がけよう

歯の神経は本来残しておくべきものであり、歯科医院側もできるだけ保存できるよう努力しています。しかし、重度のむし歯や知覚過敏などがあるとどうしても取らざるを得ません。
神経を失った歯は脆くなり、トラブルがおこりやすい状態になるため、定期的に歯科医院で状態を確認することが大切です。強い力がかからないための工夫や、異変の有無の確認も忘れないようにしましょう。

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