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歯医者の治療で使う麻酔はお腹の赤ちゃんに影響があるの? Blog

歯科医 永田 さやか (ながた さやか)
スカイ&ガーデン デンタルオフィス 院長

妊娠中でこれからママになる妊婦さんの気になることといえば、やはりお腹の中の赤ちゃんへの影響でしょう。

近年では、妊娠中の歯周病が早産や低体重児出産につながることがわかってきたため、妊婦歯科検診の補助を実施している自治体も多くなってきています。

また、さまざまなメディアで妊娠中お口の健康が取り上げられることで、自主的に検診を受ける方も増えてきています。

妊娠中でも治療は可能?

妊婦検診で歯周病や虫歯が見つかったら、治療が必要です。歯磨き指導や簡単なクリーニング程度で終われば良いのですが、虫歯が進行している場合などは歯を削って詰めたり、被せなければなりません。

この時、特に気になるのが麻酔やレントゲン写真でしょう。レントゲン写真も口腔内のみの小さなものであれば、危険性は非常に低いと言われていますが、気になるという方も多いため、多くの歯科医院では行っていません。では麻酔はどうでしょうか?

歯科医院で使用される麻酔薬は主に2%リドカイン製剤(商品名:オーラ注など)にアドレナリンが添加されたものです。

これは例えば無痛分娩を行う時に使用する麻酔薬と同じで、妊娠中に投与してもお腹の赤ちゃんへの危険性はほとんどないことが研究でわかっています。

ただし、ごく稀に薬剤自体がアレルギーという方もいらっしゃいますので、使用したことがない場合は注意が必要です。添加されているアドレナリンは、早産につながる可能性が指摘されているため、無添加なものに変更することがほとんどですが、使用したとしてもほとんど影響はありません。

歯科治療は痛みが生じやすく、痛みによるストレスの影響を考えると、適切な量の麻酔を使用した方が安全と言えるでしょう。

治療を先送りにするデメリットとは

麻酔を怖がるあまり、治療を先送りにする方が赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠中は免疫力が低下し、女性ホルモンの増加に伴って妊娠期特有の妊娠性歯肉炎を発症しやすい状況です。また、つわりによって食事が変化したり、嘔吐によってお口の中の環境が悪化しやすいことから、虫歯が発生しやすいという側面もあります。

虫歯が進行すると、神経に感染し、激烈な痛みを引き起こすだけでなく、そのまま放置することによって、顎の骨の中に膿の袋ができて血管内に菌が入り、命に関わる菌血症という合併症を引き起こしてしまう可能性があるのです。妊娠中だからと歯科治療を嫌厭すると、よりリスクの高い抜歯や投薬を行わなければいけなくなってしまいます。

(関連記事:女性ならではの歯のトラブル(その2・妊娠出産期)

妊娠中の治療で気をつけるべき点は?

お子様のためにも妊娠中でも歯科治療を受けた方が良いのですが、一般の方と同様に歯科治療を受けられるわけではありません。妊娠中だからこそ気をつけたい点があります。

まず、一番大切なのは、治療を受ける時期です。妊娠初期である1〜4ヶ月は赤ちゃんへの影響が大きいと言われており、妊婦さん自身もつわりなどで体力が落ちていたり、お口の中を触られると吐き気を催すなど、歯科治療を行うには適さないと言われています。

妊娠後期である8ヶ月以降はお腹が大きくなり、診療台に長時間横になっていると、下大静脈という太い血管が圧迫され、血圧が下がってしまうなどの危険性があるため、症状があっても応急処置にとどめておいた方が良いでしょう。妊娠5〜7ヶ月の安定期であれば、ほとんどの治療は一般の方と同様に行うことができます。

また、出産後は育児に忙しく、歯科医院に通う余裕のない方が多いため、検診などで虫歯や歯周病などが見つかった場合は、この時期に治療を済ませておいた方が良いでしょう。妊娠初期や妊娠後期でも、簡単なクリーニングや応急処置などは行うことができますが、この時期の体調には個人差が大きいため、歯科医院とよく相談することが大切です。

どんな歯科医院を選ぶべき?

歯科医院を選ぶポイントですが、なるべく小児歯科のある歯科医院が良いでしょう。妊娠中から小児歯科のある歯科医院を受診することで、出産後や幼児期に気をつけるべき点などについて情報を得ることができ、治療や矯正などが必要になっても、安心して受診することができます。

スカイ&ガーデンデンタルオフィスには全身管理のできる口腔外科出身のドクターが在籍しており、小児歯科や小児期から取り組める小児矯正も取り入れています。

妊婦の方やお子様の診療も行っていますので、ぜひご相談ください。

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