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女性ホルモンが歯を悪くする?歯周病との関係性について。 Blog

歯科医 永田 さやか (ながた さやか)
スカイ&ガーデン デンタルオフィス 院長

皆さんは男性より女性の方が歯周病になりやすいということをご存じでしょうか?

ホルモンは体の色々な働きを調整する重要な物質ですが、女性ホルモンには歯周病を誘発し、進行させてしまう作用があります。

今回は女性ホルモンと歯周病の関連性についてお話しします。

思春期と女性ホルモンの関係

思春期に増加する女性ホルモン

一般的に思春期とは10歳~15歳ごろを指します。

女性の身体は思春期に入るとエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが分泌され、それぞれには「妊娠の準備」や「女性らしい身体づくり」、「妊娠の維持」の役割があります。

一方でこれらのホルモンは、プレボテラ・インターメディア(Prevotella Intermedia)という特定の歯周病菌の増殖を促進する働きがあり、歯周組織の炎症を悪化させてしまいます。

思春期の女性に起こる思春期性歯肉炎

思春期は分泌される女性ホルモンの増加が毛細血管に影響し、炎症反応が過度に起こりやすくなります。さらに試験勉強などで夜型の生活になったり、学校や人間関係のストレスなどが原因で免疫力が低下したりすると歯ぐきに炎症が起こります。

「いつもより歯ぐきが腫れている」「歯磨きをすると出血する」「口臭がする」などの症状が見られたら「思春期性歯肉炎」が疑われます。

妊娠や出産期の女性

妊娠中の女性に起こる口腔の異常

妊娠中の女性はエストロゲン、プロゲステロンの分泌が特に増加します。また妊娠中は全身が敏感になる時期でもあります。

「つわりで歯磨きをするのが気持ち悪い」「繰り返し吐いてしまう」「食事の好みが偏ってしまう」などといったことから、お口の中の環境が乱れ、歯周病を発症してしまうことがあります。

 妊娠中に歯周病になると低体重児が産まれるリスクがある

妊娠中に歯周病になると低体重児が産まれる確率が、健康な妊婦に比べ7倍に上るという報告があります。歯周病菌が歯ぐきの血管や、歯周ポケットを通過し、全身を周り、胎盤を通して胎児の健康を害すると考えられています。なるべくお口の中を清潔に保ち、歯磨きが難しい場合はうがいをするなどしてお口の中を清潔に保ちましょう。

更年期の女性

更年期の女性に起こる口腔異常

更年期とは45歳~55歳ごろで、女性ホルモンの分泌が減少し始めます。特にエストロゲンの急激な減少により「更年期障害」といわれる身体の不調がおこり、様々な体調の変化が重なります。

お口の中に出る症状として多いものは口腔内が乾燥する「口腔乾燥症(ドライマウス)」や「口臭」、舌がひりひりしたり味覚が変化する「舌痛症」などの症状です。

閉経後の骨粗鬆症のリスク

閉経後は閉経による卵巣機能の低下によりエストロゲンの分泌が減少し「骨粗鬆症」が引き起こされることがあります。骨粗鬆症と聞くと、足や腕の骨がもろくなると考える人が多いかもしれませんが、歯を支える歯槽骨にも影響を与えることがあります

歯槽骨がもろくなると、歯がぐらぐらしたり、最悪の場合歯が抜けたりすることもあります。骨粗鬆症に罹患している方は、歯周病にかかりやすいという報告もあるため、ビタミンⅮ(キノコ類や鮭、イワシなど)やカルシウム(牛乳、チーズ)を積極的に摂取しましょう。

歯周病を予防するために

今回は女性ホルモンと歯周病の関連性についてお話ししました。
全ての女性が必ずしも歯周病になるというわけではありません。歯周病は普段からのセルフケアの徹底、定期的に歯科医院で検診や、クリーニングを受けていただくことで予防できます。

セルフケアについては、患者様の歯並びに適切なブラッシング方法、デンタルフロスやタフトブラシ、洗口液などを使用して丁寧にケアをしていただくとことが大切です。

スカイ&ガーデンデンタルオフィスでは、患者さまのライフステージに合わせたブラッシング方法や、セルフケアの管理方法をご説明しております。
歯周病の治療や、お口の中の変化、様々な不調についてお悩みがある方は気兼ねなくご相談ください。

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